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▼2005年10月28日付け
  平塚市長あて 「(仮称)平塚市さわやかで清潔なまちづくり条例」条例素案に対する意見

市が、「(仮称)平塚市さわやかで清潔なまちづくり条例」条例素案(PDF 17KB)を発表し、これについて意見募集(パブリックコメント)を行った機会に、平塚パトロールからも廃棄物持ち去り禁止条項が野宿者の生活と尊厳を脅かすことから削除を求めるなどの意見を提出しました(計4通)。なお、これに対する「市としての考え方」はこちら

「(仮称)平塚市さわやかで清潔なまちづくり条例」条例素案に対する意見(その1)



20051028

平塚市長 大藏律子殿
平塚市環境部資源循環課資源循環担当 御中


ル          

<連絡先>〒231-0026          
横浜市中区寿町3-12-2 寿生活館2F
寿日雇労働者組合 気付 (担当:由良)
Eメール:hiratsukapatrol@infoseek.jp
URLhttp://hiratsuka-patrol.hp.infoseek.co.jp/



 我々平塚パトロールは、平塚市において、野宿者支援に携わる市民の団体として、標記の条例素案(以下、本件素案という。)に対し、下記のとおり意見を提出する。


(意見)

本件素案の第15条、第219号、第22条および第242項は、いずれも全部削除すべきである。


(理由)

1、 ごみステーションから廃棄物を持ち去る行為を禁止し(15条)、その違反に対して指導・勧告を行い(219号)、ひいては罰則を科す(22条、242項)本件素案が現実となれば、野宿者の生活がただちに行き詰まってしまうことが容易に予想される。



2、(1) 現在平塚市内には150名にも迫る数の野宿者が日々生活しているが(200312月の国による全国ホームレス実態調査の際の数字によれば112名となっている)、そのうち相当多くの野宿者は生活を継続するにあたって、資源ごみや廃品を回収し、リサイクル業者へ売り渡すことでわずかに命をつないで生活しているのが現実である。
  その実態は、炎天下や冷雨の中を、時には1日十数時間も資源を探して歩き回り、ようやく数百円から千円程度の少額の現金を得て、これを食品や日用品に換えて生活を保つというものであり、それが来る日も来る日も続くのである。たいへん苛酷で厳しいものである。
  しかし、本人に他に選びうる途がないことも相まって、多くの野宿者がそのような厳しい選択をしているのが実情である。

(2) 野宿者はこの資源・廃品回収の作業を行うとき、地域住民の視線を強く意識し、敏感になっているのが通常である。地域住民とできるだけトラブルにならないよう留意し、仮にも苦情を受けるようなことがあれば、その場所での回収は以後遠慮する、と多くの野宿者が証言している。野宿者とはそれほどに地域に対し気後れして遠慮しながら生きている存在である。

(3) 本件素案のごとき条例が制定施行されれば、野宿者は、指導・勧告、命令および罰則による威嚇により、回収活動から完全に閉め出されてしまう。わずかな収入を断たれる野宿者にとって、生命の危機にもつながりかねない。

(4) さらに本件素案は、回収活動の阻害による経済的な損失を与えるに留まらず、野宿生活の全般に悪影響を与え、その被害は経済的側面のみならず人格的側面にまで及ぶことが心配されるのである。心配される被害とは、以下の通りである。


 (ア) 野宿生活の全般にわたって、過剰な「自主規制」が働くようになり、野宿者の人間的な生活が損なわれる。

   野宿者にとって今日まで営々と行ってきた仕事が、突然の条例化で禁止される。何の代替措置もなく、何の異議も認められない。このように日々の営みが突如として社会により否定されることが正当化されるなら、野宿者にとっては、今日の営みが明日も可能であるという保証が何もなく、この社会では何の権利をも保障されていないのだというメッセージを受け取ることとなる。その結果、人として当然の権利意識さえも喪失し、ひいては「自分の姿が人目についてはならないのではないか」「この場所で生活すること自体が許されないのではないか」と過剰に自主規制し、常におびえて暮らすことになるのである。このことは野宿者の生活の質を確実に下落させるものである。


 (イ) 自尊心の破壊という影響。

   およそ職業とは生活の糧を得る手段であると同時に社会参加と自己実現の過程でもある。都市雑業に生きる野宿者にとってはそれが彼の職業であり、社会の一員として、自分らしい生き方を実現する過程なのである。(都市雑業も自立の形態として法的にも認められている。)
  それが、条例によって彼の職業を違法な犯罪とみなし、破廉恥な行為と規定し、市から「指導・勧告」を受けるようなことと位置付けることになれば、その野宿者にとっては、自分の存在自体が犯罪で破廉恥であり、社会から排除されるべき存在なのだと認識することになるだろう。行政や市民社会からそのような否定的なサインを受け取った人が、どんなみじめな気持ちがするかを想像すべきである。人としての尊厳を傷つけられることの痛みは、時として、物質的な喪失よりも重大である。


 (ウ) 「市民」に対し、野宿者は「泥棒」であり監視の対象であるという間違ったメッセージを送り、野宿者への差別を助長し、すでにある野宿者と「市民」との関係を損なってしまう。

   野宿者に対し、敵対的感情を抱く市民ばかりではない。市民の中には、その身近に生活する野宿者(廃品回収等の都市雑業に携わる野宿者を含む。)との間に、理解・協力関係、自発的な支援関係、人間的な交流関係を築いておられる人たちもいる。まことに尊いことと言うべきである。
 本件条例素案は、野宿者自体に潜在的犯罪者集団としてのレッテルを貼りつけ、市民と野宿者とが人間的に関わろうとすること自体を白眼視する風潮を作出し、野宿者への差別を助長するのであって、ひいては野宿者の自立を阻害するおそれがある。


(5) 以上要するに、本件条例素案による条例化で、野宿者の自立と尊厳は回復しがたいほどに損なわれることが危惧されるのである。



3、(1) 貴市は、上記2、(1)(2)のような野宿者の生活・就労実態について把握しておられるのか。少なくとも、我々の知る限り、上記のような野宿者の生活・就労実態について、全市的な調査を行ったことはない。
 そして、本件条例素案を発表するに当たっても、こうした野宿者の実態、およびそれに与えうる影響について一向に顧慮した形跡がない。
 まず実態を調査し、そしてそれに即した施策を実行していくというのが行政の常道であるが、本件骨子案では、少なくとも野宿者に関しては、これに全く反することが行われているといわざるを得ない。

(2) いったい、貴市は、廃品回収など都市雑業で生計を立てていこうと考えている野宿者に対して、どのような支援の方針を有しているというのか。全くの無為無策であるのが現状ではないか。その一方で、明らかに野宿者を困窮に陥れる施策だけが着実に推進されるのはどういうことか。まさに「やらずぼったくり」と言わずして何であろうか。

(3) 本件条例素案の趣旨の条例が制定されれば、野宿者の廃品回収業による自立が一般的に違法とされることとなる。野宿者が生命・身体の危機にさらされることはもちろん、自立の形態を否定されることであるから、彼らの人格権・生存権に関わることであり、まことに重大な、ゆゆしき問題である。

(4) 以上のことは、我々が貴市に対してこれまでも再三申し入れてきたとおりであり、貴市も十分認識しているはずの事項である。それにもかかわらず、今般、本件条例素案のごとき条例を漫然と制定しようとしていることは、はなはだ遺憾といわざるを得ない。



以上


「(仮称)平塚市さわやかで清潔なまちづくり条例」条例素案に対する意見(その2)


20051028


平塚市長 大藏律子殿
平塚市環境部資源循環課資源循環担当 御中



ル          

<連絡先>〒231-0026          
横浜市中区寿町3-12-2 寿生活館2F
寿日雇労働者組合 気付 (担当:由良)
Eメール:hiratsukapatrol@infoseek.jp
URLhttp://hiratsuka-patrol.hp.infoseek.co.jp/




 我々平塚パトロールは、平塚市において、野宿者支援に携わる市民の団体として、標記の条例素案(以下、本件素案という。)に対し、下記のとおり意見を提出する。




(意見)

本件素案の第15条における「廃棄物」の後に、「(ただし専ら資源再生の目的に供されるものに限り、焼却、埋立て、その他塵芥としての処理が施されるべきものを除く。)」を加えるべきである。




(理由)

1、 本件素案に先立つ「(仮称)平塚市さわやかで清潔なまちづくり条例」骨子案(以下骨子案という。)においては、規制される行為はいわゆる「資源再生物」の持ち出しであるとされていた。また、「『(仮称)平塚市さわやかで清潔なまちづくり条例』骨子案パブコメ市民意見に対する市の考え方」によれば、「資源再生物の持ち出しについて」の市の考え方は、「資源再生物の買い上げ制度の事業運営に支障を及ぼす」ことが、当該規制の理由だとしている。
 このことに鑑みれば、本件素案15条の規制目的も、資源再生物についての市の資源再生政策を保護する目的とみるべきである。


2、 そうだとすると、本件素案15条が規制の客体として「廃棄物」を掲げているのは、およそ資源再生とは無関係の可燃・不燃のゴミ類を持ち去ることまでを規制し、処罰することとなり、目的に照らして過度に広範な規制であるとの批判を免れないものである。


3、 また、本件素案において、同条の規制の客体を資源再生物に限定したとしても、同条の目的からしてなんら不都合はないはずである。


4、 そうであれば、本件素案15条が一般的に「廃棄物」についての持ち去りを規制することは合理性がなく、処罰範囲が不必要に拡大する。よって、同条の規制の対象は、これをいわゆる資源再生物に限定するべきであって、可燃ごみ・不燃ごみの類は規制対象外であることを明記すべきである。この趣旨をいうものとして、上記の意見を提出するものである。


以上


「(仮称)平塚市さわやかで清潔なまちづくり条例」条例素案に対する意見(その3)



20051028


平塚市長 大藏律子殿
平塚市環境部資源循環課資源循環担当 御中



ル          

<連絡先>〒231-0026          
横浜市中区寿町3-12-2 寿生活館2F
寿日雇労働者組合 気付 (担当:由良)
Eメール:hiratsukapatrol@infoseek.jp
URLhttp://hiratsuka-patrol.hp.infoseek.co.jp/





 我々平塚パトロールは、平塚市において、野宿者支援に携わる市民の団体として、標記の条例素案(以下、本件素案という。)に対し、下記のとおり意見を提出する。




(意見)

 本件素案で罰則を設けた24条、25条、および22条は削除するべきである。



(理由)


1、 本件素案が禁止する各行為は、従来、とうてい犯罪とまでは考えられていない行為や、必ずしも反倫理的とはいえない行為も含んでいるのであって、行為禁止自体も素朴な市民感情に必ずしもそぐわないのではないかとも考えられるのである。たとえば、われわれは、すでに捨てられたごみを拾うだけの行為をも禁止する15条は問題であると考える。しかし、さらにすすんで、われわれは、本件素案で禁止の対象とされる行為も、仮に禁止自体が正当であるとしても前科一犯として評価することまでは正当ではないと考える。


2、 一般に、不必要な刑罰権力の発動はかえって刑罰の威嚇効果を減殺することもあるので、好ましいことではないとされている。日常的な行為を安易に罰すれば、かえって遵法精神をそぐ結果にもなるのである。
 本件素案では、従来は規制や罰則が存在しなかった行為を、包括的に禁止した上で罰則を科すものである。
 しかし、市が、刑罰を持ち出さなければ、およそ生活上のトラブルを解決できないと考えるのは行き過ぎであり、自立した市民の自治による社会という考え方には逆行する。
 また、刑罰をもって威嚇しなければ、法による行為の禁止を市民に教えることはできないと考えるなら、市民をあまりに見下している。市民としては、かえって、刑罰を軽く考える契機にもなりかねない。
 市が、市民に対し啓発・啓もう活動を行うことがあるのはべつとして、市民個人を名宛人とする規制については、単に禁止規定を定めるだけでも十分であり、刑事罰は必ずしも正当化されないと考えるものである。


3、 これらの罰則は、全体として正当な市民の活動を萎縮させて、かえって不自由で望ましくない市民社会を作り出しかねない。この問題は、個人個人が自立した社会を創出できるかという問題とかかわり、ひいては、野宿者をも自立した人として認めうる社会を作ることができるかにかかわるので、われわれとしては危惧を表明するものである。 


4、 よって、頭書のとおり意見を提出する。



以上

「(仮称)平塚市さわやかで清潔なまちづくり条例」条例素案に対する意見(その4)



20051028


平塚市長 大藏律子殿
平塚市環境部資源循環課資源循環担当 御中



ル          

<連絡先>〒231-0026          
横浜市中区寿町3-12-2 寿生活館2F
寿日雇労働者組合 気付 (担当:由良)
Eメール:hiratsukapatrol@infoseek.jp
URLhttp://hiratsuka-patrol.hp.infoseek.co.jp/





 我々平塚パトロールは、平塚市において、野宿者支援に携わる市民の団体として、標記の条例素案(以下、本件素案という。)に対し、下記のとおり意見を提出する。




(意見)

本件素案に、次の1条を追加するべきである。


附則

3 第15条のその他市長が指定する者の指定に当たっては、市長はホームレスの自立の支援等に関する特別措置法(平成14年法律第105号)および関連法令の趣旨に配慮しなければならない。



(理由)

1、 本件素案15条については、端的に削除するべきであることは、我々が先に提出した意見でも述べたとおりである。


2、 しかし、仮にその意見が採用されない場合には、都市雑業に従事する意思のある野宿者を、本件素案15条にいう「市長が指定する者」として指定し、同条による規制の対象外とする取り扱いをすべきである。本意見は予備的な意見としてこの趣旨を言うものである。


3、 たとえ本意見の趣旨に示したような取り扱いをしたとしても、そのことは、野宿者(ホームレス)に対する不合理な優遇というわけではない。


(1) その根拠の1つは、法令の規定である。

 ア 「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」(平成14年法律第105号)は、「自立の意思がありながらホームレスとなることを余儀なくされた者が多数存在」することに鑑み、所要の支援を行って、自立を支援することを目的とするものである(同法1条)。
 同法同条は、「ホームレスの人権に配慮」すべきことも謳っている。同法は、憲法の基本的人権保障の見地にかんがみて、不当に生存権その他の人権を侵害されている存在である野宿者たちの人権を回復し、人権の保障を全うするためには、とくに彼らへの公的な支援が必要であるとの認識を示したものと理解できる。


 イ また、同法は、ホームレスの自立の支援に関して、就業機会の確保その他の施策が総合的に推進されるべきこと(3条)、地方公共団体がその責務を負うこと(6条)、国民も地域社会において自立支援に協力すべきこと(7条)等を定めている。
 そして、同法に基いて国が策定した「ホームレスの自立の支援等に関する基本方針」(平成15年厚生労働省・国土交通省告示1号)において、常用雇用による自立が直ちには困難なホームレスに対し、都市雑業的な職種の開拓や情報収集・情報提供を行うべきことが明記されている(第32(1)カ)。ここでいう都市雑業の中には、廃品回収なども含まれる。
 すなわち、廃品回収も就労による野宿者の自立の一形態であり、自治体には野宿者の就労による自立を支援する責務があって、市民もこれに協力すべきとされているのである。


 ウ そうであれば、市の資源ごみ政策の中で、上記のような野宿者の自立のための就労ニーズを考慮することは、むしろ地方公共団体としての平塚市に課せられた法律上の責務である。これに従って、平塚市が策定する条例の中で、上記法律の趣旨に則った規定を設けることは、憲法および法律による人権保障の要請に応えて所要の措置をとるもので、なんら不当な優遇にはあたらず、平等原則に反するものでもないことは明らかである。


 エ なお、条例は憲法及び法令に抵触してはならないことはいうまでもなく、平塚市が同法の趣旨を無視した条例を制定することはかえって法令違反として許されないというべきである。


(2) これをより実質的に検討しても、従来、行政や社会からほとんど支援らしい支援を受けることもできず、健康で文化的な最低限度の生活も保障されずに、人間以下の生活を強いられる中で、廃品回収等で自力で何とか生計を立てて生き延びてきた野宿者に対して、その最後の生活の糧である廃品回収の途を剥奪することとなれば、その不当性は言うまでもない。その場合に野宿者の受ける損害は単に経済的なものに限らず人格的側面にも及ぶものである。
 他方において、仮に野宿者にその手作業で回収できる程度の廃棄物回収を容認したからといって、市の資源再生政策全体が著しい損害を受けるとまではいえないところであろう。
 そうであれば、市の政策的判断としても、野宿者の利益に対して一定の配慮をすることがむしろ妥当である。市政とは、つねに弱者の立場に配慮するものでもあるはずである。


4、 本意見は、以上の趣旨を言うものである。貴市の正しい理解を請うとともに、英断に期待するものである。


以上

 
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