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2001年2月、神奈川県は県域8市の野宿者約250名を対象として、対面方式による聞き取り調査を行ないました。その調査報告書から、
■ Q33「今の生活の中で何か要望がありますか」
■ Q34「これからの生活についてどのように考えていますか。」
■ 「最後に何かありましたらお願いします。」
■ 調査票欄外の記入(回答者の発言を調査員が随時書きとめたもの)
以上の4項目についての、平塚在住の野宿者たちの自由回答を抜粋しました。
平塚で生活する野宿者たちが日々何を考え、どんなことを感じているかの一端が見てとれるのではないかと思います。
なお、●項目の分類 および コメント は、平塚パトロールが付したものです。
| 平塚に住む野宿者の声―2001年全県聞き取り調査から |
●ほしいもの
■食事が困った。
■何でもいいから食べるものがほしい。
■野宿を始めてから、栄養が足りない。冷えと寒さ。朝昼晩乾めんを茹でて食べている。肉や野菜なんて1ヵ月に1回くらい。誰かがお金が入るとみんなで食事をする。
■平塚は田舎(東京、川崎、横浜に比べて)。パン券がない。
→食べることは生命を維持するための最低限の条件。食事に事欠き健康を害している人は多い。
■無理だとは思うが、野宿している人に「風呂」。隠れてこそこそやる生活ではなく。
■洗濯物(臭い)するためにもお金がほしい。
■食べ物とお金が大事。着る物も。いつまでもここにいたくない。
→身だしなみに関することも、人らしい心を保つためには重要。
■住居。年金手続を早くしたい。
■厚手のシートがほしい。体が悪くなった時はお願いしたいです。
●何とかやっている
■暖かくなったら今の寝床を新しくしたい。
■風呂は週1回、回数券(3800円/10枚)買って何とかやっている。
■スーパーで(廃棄の食品を)もらえるから安心は安心。特になし。
●世間の差別
■川で人を助けた。消防署を呼んで。警察は「野宿者は身元ができないと表彰、金一封はできない」。他の人はそんなことはないのでは?それなぜなのか、問いたい。
■1人の人間だから。通行人からの「目」、やめてほしい。
■以前は野宿者に対する一般の人々の視線がさげすむような感じだったが、今は、誰もがいつ野宿になるかわからない世の中でもあり、世の中が変わり始めている。失望していない。
●ホームレス問題全般、社会状況
■今はホームレスです。これからのことを考えています。自分だけじゃなくて、皆が一緒に連帯感を持っていきたい。平塚からホームレス、一人もホームレスがなくなる環境を作りたい。
■しばらく(経済、社会の)様子を見ないと分からない。
■今の政治がこんなんだから、政治が大きく変わらなきゃだめ。明治維新みたいに。被災地の援助なんかやっていても自分たちの懐に入る方が多い。
■政治家なんかあてにならない。
■弱いものを助けるという発想が行政にない。票につながる施策しかやらない。野宿者は選挙権がないので。
■行政には何も言いたくない。正しい目で、正しい判断できる人がいない。
■行政で手を打ってくれないか?
●自分のせい
■自分のせいだから。別にない。
■自分が悪いと思っているので・・・。まさか自分がこうなるとは思わなかった。
■税金を払って、義務と責任を果たしてないから、福祉事務所に俺は行かない。行く気もない。
■人に迷惑かけられない。義務怠っているんだから。このまま行くでしょうね。
●現状のまま
■このまま。変えたいと思わない。
■このままじゃないか。
■長くしていると、普通の生活をあまりしたいと思わない。自分で探してやろうとは思わない。好きなことが朝から晩までできる。どうにもならなくなったら田舎へ。
■人生振り返ってもしょうがない。飯が食えればいい。
●気楽に
■仲間と楽しくのんでいきたい。
■気楽に暮らしたい。
■気楽に生きたい。
→野宿仲間のコミュニティが、野宿生活の支えになっている例がままある。厳しい屋外での生活は、気楽なことばかりであるはずもないが、かといってアパートでの独居が絶対的な幸せというわけではない。その人の自己決定を尊重したい。
●何もない、わからない
■何もない。ただ生きているだけ。
■疲れた。
■これから命はもう2年。長くない。
■何も考えていない。/■わからない。/■まだ考えてない。/■分からない。判断つかない。/■分からない。/■考えていない。/■分からない。
■いつまでもこの状態は続けられないかな。宗教の方向に行こうかなと考えている。考えてもしょうがないかな。年金はない。福祉の世話にはなりたいけれど、期待できないだろうね。
■誰も助けてくれない。
●言っても無駄
■言ったからって、、、どうなんだろうな、、、。何だろうな。
■いくらでもあるが、出来るものと出来ないものは、はっきりわかるので言ってもどうしようもない。
■言っても無駄。税金払っていないから、文句とか言えない。免許もってても、年齢で、仕事欲しくても門前払い。行政の上の奴らが来たら話してもいい。
■言ってもやってくれないから言わない。
■いっぱいあるけど、言ってもしょうがないから言わない。県や福祉には言いたいことがあるが、言わない。
●特にない
■意見ないよ。/■特にない。/■別に要望はない。/■ナシ。/■なし。/■特になし。/■特になし。/■ナシ。/■ない。/■なし。/■特になし。/■特にない。/■なし。/■別になし。
→「特にない」という中には、「言っても無駄」という『諦め派』が相当数含まれていると思われる。絶望感や、行政(の調査)に対する不信感の大きさをあらわすとみるべきだ。
●眠れない
■駅前・地下道が寝られなかった。
■車やオートバイの音がすごい。土・日曜日は必ず来るので眠れない。
●健康面の不安
■体が心配だから病院へ行くのが嫌だ。
→究極の医療・福祉不信。およそ病院と言うものを信用していないか、病院に行ったとしても費用などの面で治るまでの面倒を見てもらえないと思っているのであろう。
■高齢であることの不安。仕事をする上で無理がきかない。
■仕事に行きたくても野宿しているので、体がついていかなくてできない。
→屋外での過酷な生活は体力を奪い、野宿が長引くほど野宿を脱却するのも困難な条件が増す。
●病院に行きたい
■体が心配だから病院へ行きたい。
●福祉が利用できるか不安
■風邪がこじれて、親のところには帰りたくないので福祉へ行ってみようと思うが、ちゃんとみてくれるか心配だ。
■血圧も高くて福祉を受けたいと思うが、住所もないので無理だと思っている。
■病院に行きたいがどうすればいいか分からない。福祉事務所はどうやって利用できるのか?
■役所にいったってダメだから創価学会に行けばいいと言われた(Yに)。公明党の市議がやってくれるとも言われた。
■福祉の人がこの前もやってきたけど、本当にやってくれるのかなあと思って?
→巡回相談など行政の取り組みも緒についたばかりで、野宿者たちの長年の不信を除くのは容易でない。「福祉の人」は、行政職員ではなく、野宿者を勧誘して自前の劣悪な施設に入居・生活保護受給させた上で、劣悪なサービスで高額な料金をとる民間業者の可能性もある。
●断られた
→全県調査でこの「野宿者の声」を聞き取った約2ヵ月後の2001年4月、平塚パトロールが結成された。また、平塚市の行政(福祉事務所)の対応には、当時と比べて格段の進歩があり、少なくとも医療と生活保護については、仕事をしてくれる福祉事務所になってきている。
しかし、ほんの数年前までの福祉の対応を振り返り、福祉行政の役割の大きさを再確認するために、あえてそのまま掲載する。
■東京などでは、ボランティアがやってくるが、神奈川は来ない。平塚市役所は病気で相談に行っても家がないからと相手にしてくれなかった。
■喘息、糖尿病の既往歴があり、(福祉事務所に)相談に行ったが、野宿を理由に断られた。昨年春ごろ、平塚市の福祉事務所に行ったが、病気でもない限り面倒は見られないと言われた。
■断られた。平塚はダメだと言われている。ほんとにダメだ!
■平塚市では「仕事を自分で探して働け」といわれて何もしてくれなかった。
■もう平塚は何もしてくれない。「早く死んだほうがいいね」と市の職員から言われる。
→職員が本当にそんな発言をしたかはわからない。職員の説明を本人が誤解している可能性もある。ただ、この野宿者本人にとっての真実は、職員から自分の人格存在を否定されたという認識・印象を得たということだったのだろう。最後に頼った役所にまで拒否されること、あるいは拒否されたと感じることが、本人を著しく追い詰める。
●助かっている
■寂しい!仕事が見つからないのは以前あったがもう諦めた。平塚市の「福寿手帳」でお風呂に入っているので助かる。役所に病気で相談に行った時はちゃんと相談できた。
●生活相談をしたい・生活保護を受けたい
■生保を受けたい。
■老人ホームに入所するか、もしくは生活保護を受けたい。
■福祉事務所に相談に行ってなんとかしたい。
■気楽に行ける福祉事務所だといい。
■福祉をもらえれば一番いい。
■面倒見てくれればいい。
■68歳だし、病気がちだし、面倒を見てほしい。
■親との不和があっても仕事や生活を何とかしようと思っているので相談に乗ってほしい。
→生活全般について気軽に役所に相談したい、という要望が強いことがうかがえる。
●居宅
■一日も早く住民票を自分のもとに置きたい。
■早く住居を決めて生活を安定させたい。
■テントではなくて、雨露しのげるところに住みたい。
■早く野宿をやめたいと思っている。
■野宿をやめて住むところがあれば、そこにいたい。
■金がたまればアパートを借りたい。
■住居がないので年金手続が出来ない(住民票は平塚市)、福祉事務所が相談にのってくれない。福寿手帳は持っている。老後を考えて、介護保険もしっかり払いたい。住居があれば解決する。
■アパートを借りたい。もう1回商売をしたい。
→空腹でどうしようもない時、とりあえずの食料が手に入る、寒空の下で途方にくれる夜、ひとまず泊まる場所があるというということが、野宿者の自立への第一歩である。
●一時宿泊施設
■県・市として「法外援護」をしてほしい。住居を寒い時だけでも開放してほしい。自分は元気でも中には具合の悪い仲間もいるので。
■平塚市に望むこと。「一時宿泊施設」を作って欲しい。食事が欲しい。平塚市の対応は遅れている。
■男の駆け込み寺、野宿になる前に無条件に泊まれた場所に入れ、そこを住所にして仕事に出られるとよい。
■住むところが(仮設でもいい)あれば、500円でも1000円でも働く。
■長く泊まれるところでゆっくり仕事を探したい。
●仕事がない
■いま、自分はホームレスです。仕事をやりたいけれど仕事はない。自分の力で仕事を出せる人はなかなかない。自分が仕事するだけでなく、仲間にも仕事を出したい。
■仕事があれば行きたいが仕事がないのでどうしようもない。
■仕事がない。
■仕事をしたいが、見つからない。
■このままこういう生活を続けたくはないが、仕事がないので同じだろう。どうにかしてくれれば別だが。
■何も仕事がなかったら、今の生活続けていこうかなぁ。
■仕事があればやりたい。なければしょうがない。
■仕事がもっとあればよいが。昔は20日は働けた(アパートを借りられた)今は10日くらい、8万円しか稼げない。
■仕事がない。寿に行けばあるかもしれないが、事情があって行けない。
→「寿」とは横浜・寿町。日雇労働者の寄せ場としての伝統を持つ町であるが、昨今の労働市況では寿町でも求職は困難である。
●就労の意欲
■仕事したい。
■仕事が欲しい。
■ちゃんとした仕事が欲しい。腰すえて仕事がしたい。
■このままではいけない。仕事に就いて、自分で働く。
■仕事がないと考えられない。
■地道に新聞で仕事探しをする。
■仕事を見つけてくれ。どんな仕事でもいい。
■仕事をしたい。
■仕事が欲しい!
■片付けの仕事でも良いから、何でも仕事があればよいなあと思ってます。
■手足があるから仕事くらい出来るので何とか仕事が欲しい。
■暖かくなったら仕事を探して働きたい。
■仕事はやれるところまでもっとやる。62,3歳まで生きられればいいかな。
■生きられるだけ生きられればいい。物を拾ってでも生きるしかない。(働かなければ収入がない)
→野宿者にとっても、定職に就き、収入のある生活=きちんとした人生、というイメージが強いのではないだろうか。
●就労への動機
■何でも良いから仕事が欲しい。寝られるところがあって2食、食べられればいい。
■仕事が欲しい。病気のときが心配なので・・・
■仕事が欲しい。安心して働ける、継続できる仕事。仕事をして金を貯めてアパートを借りたい。
■毎年思うんですが、今年こそは落ち着いたところで働いて、あれこれしようかなと思うんです。
■毎日、充実感のある→仕事がある生活。
■自分に合った仕事につきたい。自分で部屋を借りられるようになりたい。
■仕事が欲しい。まともな生活をしたい。アパートを借りたい。
■仕事があれば金を貯めてアパートを借りたい。いつ追い出しがあるかわからない。(橋の下)
●就業のための条件整備
→野宿という条件下で就職するのは困難が伴う。(支援も必要。)「働いて金を貯めて、野宿から脱却すればいいではないか」という強い自立像が語られがちだが、実際には野宿を脱却=安定した住居を獲得しないと、就職すらできないことが多い。
■仕事が欲しい。体調も少し良くなって欲しい。
■ハローワークで仕事があっても、賃金貰う迄の昼飯代がなくて仕事にいけないので、交通費以外の当面のお金を立て替えてほしい。医療も受けたい。
■宿舎があればいい。そして何でも仕事をしたい。
■仕事が出来れば一番いい。(でも目がほとんど見えないから無理か?)
■ホテル等のサービス、接客業に就きたい。時々、熱海・湯河原を探している。住所不定等で断られる。
■現実は厳しいが、とにかく、安心して働ける仕事が欲しい。でも、住所・保証人の問題がある。
■仕事を探しているが→住所の件、連絡先、保証人の件。何とかならないか!
■仕事さえあれば。何でもやりたいが、職安では「住所なければダメ」といわれる。
■ハローワークで掃除の仕事を見つけたが住所がないからダメだと言われた。
■(職業)安定所に行って土木関係でもいいから、というが体がついていかないからと言われた。気持ちとしては(仕事は)何でもいいと思っている。
●希望の職種
■ホテル等のサービス、接客業に就きたい。時々、熱海・湯河原を探している。住所不定等で断られる。<再掲>
■軽作業の仕事が欲しい。
→各人の能力に応じて、いろいろな職につける可能性が開かれている必要がある。
●行政の就労対策を求める
■ホームレスが増えたことに対して、県・市が仕事を考えて欲しい。
■何とか仕事の面倒を見て欲しい。
■平塚が住みやすいからいるが、仕事がないし福祉は何もしてくれない。日雇い土木の仕事を出してくれ。
■平塚市では、「仕事は自分で探して働け」と言われて何もしてくれなかった。
■仕事が欲しいが・・・福祉がなってない。野宿者を馬鹿にしている。
●ここに居させてほしい
■健康でいられれば、生きていられればよい。出ろと言われれば出なければならない。
■自分だって悪い事する訳ではない。迷惑かけるわけではない。ここに住んでいるのが迷惑だと言われればそれまでだが、「見守って欲しい」と言う感じ。
■守衛にトイレにいると怒られる。役所の人が荷物をみんな持っていった。
■早く立ち直りたい。周囲を綺麗に掃除して、迷惑をかけていないのに何故、役所に出て行けといわれるのか。
■ただ静かに暮らさせてほしい。こういう生き方しかできないと言うのを見てくれればいい。
■人にかき回されたくない。人を信じられない。荷物を持ってっちゃうのもいるし。このまま犬とゆっくり生活していたい。
■長く野宿できる場所。追い出しされない所。ゆっくり仕事探したい。仕事が欲しい。
■2年位前に高校生がバットを持って襲いに来た。物を盗っていくのは役所の連中。無断で持って行ってしまう。
■(施設管理者からの)追い出しは、かなり切羽詰っている。
■(県なぎさ事務所)砂防林の囲いシートに金網をするな(出入りに困る)。
→最も持たざるものである野宿者を、さらに盗難や襲撃(暴行)の被害が追い討ちをかけ、野宿場所からの追い出し圧力が迫る。自分は世の中に存在してはいけないのかと思えるような情けない出来事が連続する生活の中で、「ここに居させてくれ」というのは野宿者の心からの叫びといえよう。
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